七色の空
チャプター88
「はッぴぃエンド」
〜つづき4

少女は高校を中退して仕事を始める。自分で子供を育てる為だ。一緒に暮らす祖母にはお腹の赤ん坊の事は話していない。いつかはお腹が膨らみ、祖母に隠し通すことは出来なくなる。 少女は自信をもって祖母に話すことが出来ない行いであることは自覚している。祖母を悲しませてしまう可能性を理解している。祖母には心配をかけたくない。しかし、自分の人生は自分の決断で進んでゆきたい。
 少女が学校を辞めると決めた時、祖母は黙って少女の決断に頭を縦にふった。 幼い魂は大きな可能性を秘めてこの世に羽ばたいてゆくべきだ。日本が先進国となる為に、一貫した教育制度が全土に波及し、世界の注目する小さな国がその経済力を誇示している。世界の勢力図など、今の少女には関係がない。目の前の狭い世界で自分が生き残るすべを必死になって模索するのだ。お腹の赤ん坊は刻いっこくと少女の体内で成長してゆく。諦めてしまえば、人の人生や命は何とも些細で無力なものではないだろうか。
生きていることに実は意味などないのだ。
生きることに実は意味などないのだ。
そこに意味を見い出す苦労は、苦労した者のモノであり、苦労した者だけにホンの少しだけ優しさを与える。
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