七色の空

魔法のコトバ

ﾁｬﾌﾟﾀｰ27
「拝啓 加藤 鷹様」

部屋を捨てた林檎が次の住まいに選んだのは、勿論、福生の部屋である。事実上の交際宣言。まだ、エッチはしていない。
林檎が福生と同棲を始めて間も無く、林檎が念願のAVデビューを決めた！
　話の展開は読者の気持ちを汲んでいないものになってしまっているだろうか？海の上でやっと福生が愛を告白したってゆ〜のに、次は林檎がAVデビュー？あの茜色の約束はなんだったのか？
そんな事を思ってくれていたとしたら、作者冥利につきるとゆうもの。 このデビューを最も喜んだのは、何を隠そう福生である。何と林檎はデビュー作にも関わらず、加藤鷹さんと絡むのである。福生は鷹さんに手紙を書いた。脚本を描くように、起承転結構成で。
福生は現場に見学までいってしまう。何故って林檎のデビュー作品の脚本を書いたのは福生だからだ。
その作品はカットを割らず、愛撫から昇天までワンカットのガチ本番。鷹さんは福生の期待に見事なまでに応えてくれる。快楽に身を委ね、獣の如く悶え感じる林檎の性を直視し、福生は泣き出しそうな衝動にかられる。自分の目の前で、あまりにも魅力的に生が躍動する瞬間を、福生は確かに見てしまった。 その日、林檎が噴き上げた潮は、天まで届いて福生に降り注いだ。
「若者よ 唯 狂え！」
映画監督、鈴木清順の言葉である。
　　手紙文面
拝啓 加藤鷹様

僕は林檎が大好きです。　大好きな女性はAV女優を志し、彼女の夢を僕も叶えたいと今、思うのです。 　林檎の夢をよろしく哀愁。
　AV女優を好きになったわけじゃなく、好きになった女性がAV女優だった脚本家より真心を込めて
鷹さんは、この手紙の意味がサッパリ分からない…