BABY BLUE(短編)
シトシト、雨が傘に当たる。雨傘にはスカイブルーが一番だと思うのは、あたしだけだろうか。こんなにも雨によく映える色を、他に思いつかない。
雨粒と傘が織り成すコントラストに見とれながら歩いていると、後ろからポンッと肩を叩かれた。誰かと思って振り向いたら、命の鼓動が停止するかと錯覚するくらいに驚いた。
「仁科、はよ!」
「……何だ、竹田か。驚かさないでよ……」
「何だって何だよ!折角お前が見えたから追いついてきてやったのに。」
「誰も頼んでませんから。」
可愛くない言葉を吐きながら、心臓は尋常じゃない程激しく高鳴っていた。こいつの行動は心臓に悪い。あたしの気持ちを知っていてわざとこうしているのなら、かなりの小悪魔ボーイだと言えるだろう。
竹田東(あずま)は、あたしと同じ高校3年生。野球部を引退してから伸ばしているという黒髪は、なかなかあたし好みの長さだ。坊主の時も、可愛かったけどね。
「仁科ってさ、前から思ってたけどクールだよな。名前もクールだし。」
「クールな名前ってどんな名前よ。」
「そんな名前。」
「シャラップだよシャラップ。」
しょげる竹田を横目に、密かな溜め息をついた。
雨粒と傘が織り成すコントラストに見とれながら歩いていると、後ろからポンッと肩を叩かれた。誰かと思って振り向いたら、命の鼓動が停止するかと錯覚するくらいに驚いた。
「仁科、はよ!」
「……何だ、竹田か。驚かさないでよ……」
「何だって何だよ!折角お前が見えたから追いついてきてやったのに。」
「誰も頼んでませんから。」
可愛くない言葉を吐きながら、心臓は尋常じゃない程激しく高鳴っていた。こいつの行動は心臓に悪い。あたしの気持ちを知っていてわざとこうしているのなら、かなりの小悪魔ボーイだと言えるだろう。
竹田東(あずま)は、あたしと同じ高校3年生。野球部を引退してから伸ばしているという黒髪は、なかなかあたし好みの長さだ。坊主の時も、可愛かったけどね。
「仁科ってさ、前から思ってたけどクールだよな。名前もクールだし。」
「クールな名前ってどんな名前よ。」
「そんな名前。」
「シャラップだよシャラップ。」
しょげる竹田を横目に、密かな溜め息をついた。