BABY BLUE(短編)
 クール、すなわち“かっこいい”は、あたしにとって最高の誉め言葉。みんなの前では満面の笑みで「やっぱり?ありがとう!」などと調子に乗るけど、こいつの前ではそんな気が起こらない。むしろ、起こせないのだ。

 かっこいいって嬉しいんだけど、こいつの前だと何処か引っかかる。一体どうしてだろう。原因は、こいつを好きになって三年目になった今でも全く分からない。



「仁科って、青系好きだよな?」

「……えっ?」



 突然、竹田が言った。うん、と愛想もなく返すと「やっぱり!」とニコリ、眩しい笑みをお見舞いされた。眩暈が……いかんいかん。こいつの前で変な所なんか見せられない。平静を装って、「それが何?」と尋ねる。あぁ、我ながら可愛くない。



「だって、持ち物ほとんど青だろ?クラス一緒になる前から何となく気付いてたけど、いざ同じ教室で生活し始めたら、やっぱりそうなんだーって思ってさ。」

「……まぁね。あんまり青ばっかも困るから、携帯は黒だけどね。」

「そういえばそっか!じゃあ、私服も青が多いんだ?」

「や、白と黒と灰色が多いです。」



 ──つ、疲れる。こんなに長く話したのは初めてじゃないかと思った。
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