拾われサンタ、恋をする
プロローグ
初めてできた恋人とは、喧嘩ばかりだった。
薄々感じていた。
彼女は僕のことが好きで付き合った訳じゃないってこと。
世間で名門と言われる大学の院生となれば、その肩書きだけで寄ってくる女がいる。
合コンに来るなら、捕まえておかないと!って欲が見え見えだった……今思うとだけど。
冴えない男の僕に、体まで許してくれくれた彼女を疑うのは悲しかった。
間違えた恋、初めての恋。
しがみつこうとしていた僕は、馬鹿なんだろうか。
もしもこの先―――自分が本当に誰かを好きになった時、また前の彼女と同じなのかと失望したりしないだろうか。
見返りを求めない相手に巡り会える日がくるだろうか。
< 1 / 111 >