拾われサンタ、恋をする
「事情は色々なんだろうけど、早いとこ身の振り方を決めておいた方がいいと思うぞ」
「だからね、遠藤くん……そういう付き合いじゃないって」
「でもお前さ、俺らと飲み始めてからずーっとその人のこと絡めてんだろ?むしろ自分から」
「………」
「そんだけ頭ん中占めてる相手だったら、十分特別じゃん」
そう纏められると、ぐうの音も出ない。
ふとした瞬間に寺嶋親子のことを考えている自分がいるからだ。
というか今、それを自覚せざるを得なくなった。
「南は頭いいくせに、肝心なとこは鈍いんだな。おもしれ」
「そうだね。そこは否定できないかも」
苦笑したところへ、好物の焼き鳥が運ばれてきた。
早く食べたい気持ちと、勝手に食べて小田さんに恨みを買う恐怖を天秤にかけ……ついぞ恐怖が勝った。
これ以上機嫌を損ねてたまるかという話だ。
すっきしした顔で戻ってきた小田さんは芋焼酎を頼んだ後、何事もなかったかのように焼き鳥にかぶりつく。
ここまで心地よく女子力を感じない人も珍しい。
「でさあ、南くん。私も報われない相手を追っかけてないで、新しい恋を見つけたいわけ」
「うん。いいと思うよ」
「でしょ?紹介してよ」
「え!」
頼みごとというよりも命令に近い発言に、僕の目はまた丸くなる。
「何よ、私じゃ紹介しにくいって言うの?こっちはアパレル商社でカワイイ女の子集め放題なんだから、条件いいっしょ」
「そういう驚きじゃなくって……」
僕の集められる男といえば、研究に勤しむあまり女日照りを悪化させた妄想男子ばっかなんだけど、なんとなく言いにくい。
「将来性があってスマートで、実家金持ちってのもいいな。あと絶対年上ね!これ譲れない」
「………あー」
「その反応はいるね!」
いるにはいますよ………目元のクマが色素沈着起こしてる先輩が。