拾われサンタ、恋をする
サンタ、再会する


24日、25日の二日間、彼女持ちのツラをして堂々と休みを取ってやった。


……いーじゃん、このくらい、どーせ休み明けは笑い飛ばされるんだから。


彼女からの一方的な別れは、じわじわ僕の心を落ち込ませていく。


しばらくは、どうしようもないかな。


とりあえず気分転換に久し振りにカレーを作ってみたら、これがなかなかどうして、大成功だった。


近所のスーパーは、恋人達の甘っちょろい雰囲気と無縁だ。


買い物カゴ片手に、ブロッコリーの良し悪しを本気で見定めているおばさん達の世界がそこに。


ああ僕、やっぱりこっちの方が馴染むし落ち着く……


「お兄ちゃん、その玉ねぎアカンよ。上の方触ってみぃ、ぐにょっとしてるやろ」


「はあ。ほんとですね」


「こっちにしとき。一個多く入ったあるで」


「……どうも」


関西弁の妙なおばさんのお陰で、質のいい玉ねぎが五個も手に入ってしまった。


一人カレーなのに余りそう……いや、いいか。


また他のものを作ってみるのもアリだ。


今日から僕は、自分がしたいと思うことして、こうありたいと思う自分になる。


こんな服はダサイとか、趣味が暗いとか、髪を染めないんだったらせめて遊ばせろとか。


いちいち僕にダメ出ししてくる人は、もういないのだ。


背伸びしても続かない、格好つけてもボロは出る。


だったら僕は僕で、思うように生きればいい。


「2,041円ですー」


ついついコーヒーや、酒類もカゴに入れてしまい、予算はあっさりオーバーしていた。


……牛、お前は切り落としでも上等だな。


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