拾われサンタ、恋をする
サンタ、失恋する
「一番デカイやつね。ネットで買うとか冷めたこと言わないでよ。お店に行って選んできてくれるから愛があるんじゃない」
「……ほんとにそれ欲しいの?」
「うん!絶対絶対欲しい!」
これはまた嘘だ、そんなもの欲しがるタイプじゃない。
僕がそこを見抜けるわけないと、本気で思っているのか。
「ねえ義大(よしひろ)。私の言うこと聞いてくれるんでしょお?」
ソファに腰掛ける僕の足の上に、しゃなりと手をのせて体重をかけてくる。
女の武器の使い方を知っている彼女から、女が本気か本気でないかの違いも教わった。
この一年で。
「わかったから……おりて」
「義大つめたぁい」
おりてと言ったはずなのに、どうして跨がれる方向に進んでいくのか、さっぱり分からない。
「最近全然してないじゃん。……いいよ、今日は相手してあげる」
この言葉を有り難いだの、幸せだの思えてた僕は、男として未熟だった。
あの頃が信じられないくらい、気持ちが冷めている。
「無理。今からレポート書く」
「はあ?そんなの後で一人でやってよ」
「時間がないんだ。うちにいてもいいけど、大人しくしてて」
そう言うと、彼女の顔がかっと紅潮した。
女としてのプライドだけは高い、そんな人だ。
こっちの面で恥をかかされたら耐えられないのだろう。
「……いいわよ!帰る!二度と来ないから、アンタの家なんて!」