拾われサンタ、恋をする


「そうか……ここにいるんだ」


優衣ちゃんのかわいい寝顔は、今も目に焼き付いている。


会いたいな、と僕の気持ちが高まった。


「でも僕がいきなり現れたら変に思いますよね」


「どうだろう……遊んでくれるお兄ちゃんとでも思うんじゃないかな?」


僕は頭を抱えた。


ううーん、どうも子供がなつきそうなお兄さんというのと、自分は違うような気がする。


ニコニコすんのも苦手だし。


「でも会いたいんだよなぁ……」


そこだけ声に出して悩んでいたら、亜紀さんがクスリと笑った。


「ここの片付けが終わったら、優衣を迎えに行くことになってるんです。たぶん十一時くらい。時間が合いそうなら、保育学科のプレイルームで待ち合わせませんか?」


「……ほんとにいいんですか」


「はい。優衣には教えてあげられないけど、あのクマさん届けてくれたサンタさんと会えるなんて、あの子すごくラッキーですよ!」


……貴女の中で僕は、完全にその枠なんですね。


「十一時、行きます。早目の昼食とでも言って抜けて行きます」


「大変ですね研究室。そういえば、ここへはなんて言って来たんですか?」


「それは……お願いだから訊かないで」


クマ先輩中心にして、アイツらが何を言ってるかくらいお見通しだ。


義大の奴、○コなっげーなオイ!


そんなとこだろうか、あ、なんか視界がぼやけてきた、もしかしてこれ涙かな。


「南くん、南くん」


「……はい」


「私のために出てきてくれたんでしょう?また後で話しましょ。早く戻った方がいいんじゃないですか」


大人の女性、流石だな。


僕の扱われようもお見通しですか。


「そうですね、戻ります。また後で」


はい、と言って亜紀さんはまた笑顔を向けてくれた。

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