拾われサンタ、恋をする
「う……?おいし」
その時の孫の目の輝きは、まるで宝石!いやそれ以上の(孫バカ論は続く)
以来、何を食べたいと尋ねると、何より先におこぜが出てくることに、責任を感じ始めている須藤だ。
「亜紀も看病で疲れたろ」
「そう思うなら部屋の掃除くらい自分でやってください」
「ははーママは怖いなぁ、優衣ー」
孫に頬擦りしてきゃーきゃー言われる自分に、ため息をついた亜紀の顔を見て須藤は視線を落とした。
……また痩せたな。
年々細くなっていく娘を見るのはつらい。
赤ちゃんが生まれて半年で夫が急逝、そこから亜紀は母としての愛情と責任だけでここまできた。
よくやっているとは思うが、やはり親としては心配は尽きない。
「……亜紀は?食べたいものはないのか?」
「私?そうだなぁ。寒いから鍋物を食べに行きたい」
「なら、今日はフグ食うか!母さんに電話して、予約してもらえ!」
「だから自分でしてってば……」
不満は言うものの、もう実家に電話を掛けている亜紀である。
「鍋なら優衣も好きだろう。うまいぞー」
「わあい!お鍋ときびだんごだぁ!」
「……きびだんご?」
「約束してたー。優衣がももたろ」
「おーそうか。なるほどなるほど」
適当に相槌を打つことはできるが、実はこうなるとじいちゃんお手上げである。
吉備団子といえば岡山県だな、知り合いでもいるのか?
まだ通話中の亜紀に訊いたら怒られそうなので、須藤はその疑問を自分の中にしまった。