拾われサンタ、恋をする
父にパソコンの接続を頼まれ、設定まで面倒を見ているうちにすぐ夜になった。
家族で年越しそばを食べていたら、地元の友人からLINEで連絡がくる。
『義大こっち戻っとぉ?高校のやつらで正月会おう言う話があるけど』
同級生の中には、進学や就職で卒業後に地元を離れた人は多い。
僕もその一人だ。
まとまった休みが取れる正月に合わせて戻ってくることが多く、集まるならその時がいちばん都合がいい。
『帰ってるよ。集まりいつ?』
『二日の夜。場所はいつもの福助。二階貸切ってくれるって。集まった奴から飲み始めるぞー』
『わかった。顔出すよ』
『おーよかった!言うとくけぇ!先生も呼んどるけぇよ!』
去年は参加しなかったから、地元の友達に会うのは二年ぶりだ。
先生まで呼んだら同窓会みたいじゃないか。
「母さん、小さい子が食べられるようなお菓子ってある?絵本や折り紙もいいかも」
「お菓子買い込んであるけぇ、何でも取りぃ。折り紙はあんたらが昔使いよぉた文具入れに残っとんじゃねぇ?」
「ありがと。見てみるよ」
「どっかの子供さんと会うんか?」
「高校の友達だけど、何人か子供いる奴おるけぇ、連れてくるかもしれん」
絵本や折り紙というのは、先日入った保育実習室で目に留まったものを適当に言ってみただけだ。
大人ばかりの集まりに付き合わされて、暇をする子もいるんじゃないかという、余計なお世話もいいところの心配。
「まったく……義大らしいと言やぁそうじゃけど、思いつくことが面白いねぇ。小さい子じゃったら、クレヨンやら喜ぶかもしれんよ」
「そっか」
小さい子に意識が行くのはたぶん、優衣ちゃんのおかげだ。
子供が喜ぶ顔というのがあんなに可愛いものだと知らなかった僕は、今まで損していたと思う。