拾われサンタ、恋をする
サンタ、介抱する


とても真面目な研究室メンバーは、誰ひとり前倒しでやってくることはなく、全員が五日からの横並びスタートを裏切ることはなかった。


おかげで僕は誰の差し入れも期待できず、仮眠を取ることもままならず、五日の朝を迎えたのだ。


「あけましておっめでとーございます!あんれ?南、お前早いな!」


「はは……」


クマ先輩のめでたい声も挨拶も、超寝不足の僕には何の気力も持たせてくれない。


肝心の大西がなぜ一番に来ない……


「今日来たツラじゃないな、それ。帰省してたんじゃなかったのか?いつからここに泊まってたんだお前?」


「三日の午後からです」


「うわ、これ……一時間おきに記録つけてんじゃん!いつ寝てんだよ南」


僕の手元のノートを見てクマ先輩が眉をしかめて聞いた。


「十五分ずつとか……三十分連続して眠れたらいいとこですかね」


「俺だって一日四時間は連続して寝てるぞ!」


「もう少し寝た方がいいんじゃないですか?目元のために」


「寝不足の時は毒吐いてくるよな。普段からそう思ってんだなってのが分かるわ。代わってやるからソファーで横になれよ」


クマ先輩に追い立てられて、僕はソファーに顔からつっこんだ。


「あん?これお前の実験じゃねーじゃん」


「………大西のですよ」


「何やってんだよアイツ」


ごもっともな怒りだ。


院生の僕たちは実験の要領をかなり分かってきている時期だ。


まだ一年目、二年目の彼らのしていることは、院生の目から見れば無駄が多い。


そこの取捨選択は学生本人が自分でできるようになった方がいいので、アドバイスはしても滅多に口は出さない。


そのために指導教員が付いているのだから。


「他の奴らも来たぞ、大西はまだみたいだけどな」


「………」


数人の動きを気配で感じながら、次に改まってみんなが新年の挨拶をし始めたので、須藤教授が来たのだとわかった。


「あけましておめでとうございます!」


「おめでとうさん。新年早々、南は具合でも悪いのか?」

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