拾われサンタ、恋をする
「………」
頬で感じる寒さと、テレビの音で目を開けた時、今が何日の何時なのかよく分からなかった。
一体、何時間寝ていたんだろう。
考えてもそれが分からないことにゾッとして飛び起きた。
スマホの表示は一月六日の午前九時になっている。
……ワープしてる、ワープしてるよ一日!
エアコンだけ点けてまた布団に潜り込み、須藤教授に電話を掛ける。
『おー南、大丈夫か?』
「はい、すみません!寝すぎました!」
『ああ。いい、いい。今日は休んで一日寝てろ』
「でも僕、今までで最高記録ぐらい長時間睡眠取ってしまったんですけど」
正直に言ってるのに、受話器の向こうでは須藤教授の爆笑が起きている。
『いいじゃないか。一日儲けたと思えば。睡眠のリズムはそんなにすぐ戻らないもんだ。また明日からしっかりやれよ』
「ありがとうございます。あの、大西は元気にやってますか?」
『気にすんな、あいつは大丈夫だよ。……あんまり後輩甘やかすな』
「覚えておきます」
もう一度お礼を言ってから電話を切った。
サラリーマンの人が受話器を持ったままお辞儀をする気持ちが分かるような気がする。
上着を着てミネラルウォーターを一口。
実家から持ち帰った荷物をばらそうと鞄を開けた時、とても重要なことを思い出した。
「………しまった!優衣ちゃんの!」
娘との約束を思い出した時のお父さんレベルの焦りで、ざっと顔から血の気が引いていく。
着信履歴を見直してみたら、亜紀さんからの連絡は入っていない。
慌てて電話を掛けてみたものの時間が悪かったのか不在だ。
『昨日はすみません!約束していたのに連絡もなく。今日は必ず行かせてもらいます、よろしくお願いします』
言い訳もいくつか考えたけれど、どれも格好がつかないので謝るだけにしておく。