拾われサンタ、恋をする
サンタ、訪問する




順調に回復してくれた亜紀さんは一週間ほどで退院し、今は実家で療養している。


仕事の方は今月いっぱい休ませてもらえることになったとメールで連絡してくれた。


須藤教授から「お前の口添えのおかげだ!」と感激されまくったのだが、この親父はただ単に一人娘と可愛い孫娘が家にいることを喜んでいるだけじゃないだろうか。


よほど機嫌がいいらしく、研究室で何かと絡んでくるのが面倒くさい。


「聞いてくれ、南。優衣に好きな男の子がいるんだそうだ。保育園児でそういうのってありか?今日迎えを頼まれてるんだが、早めに行って相手の男を確かめておいた方がいいだろうか」


「男って………保育園のお友達に何言ってんですか」


「バカお前、幼児とひとくくりにするべきじゃないぞ。そいつの将来性や家柄は把握しておくべきだろう。上本みたいな男だったらどうするんだ」


「たぶん家柄も将来性もマルですよ、あの人」


「二秒で浮気する男なんて問題外だ」


「………」


それに関してはフォローのしようがない。


クマ先輩は窓際で休憩を取っている後輩を捕まえて、昨日のコンパの話で盛り上がっている。


でも世の中にはお金を払ってでも女性と関わりたいと思う男もいるわけで、その点でクマ先輩は女性を交えて楽しく飲んでる程度なのだから、まだ可愛いもんじゃないのかなと思うんだけど。


「それにしても優衣ちゃん、おしゃまですねぇ。女の子ってそういうものでしょうか」


「そうなんだよ!四歳児でも感覚はティーンネイジャーなんだ!男親からしたらハラハラもんだからな!お前だって親になったら分かるだろうさ」


けど可愛いぞ、娘はサイコーだ!と、結局結論はそこへ向かう。


「須藤先生は亜紀さんにもそうだったんですか?周囲の男警戒したりとか?」


「おう、亜紀の時は身辺調査はかかさなかったぞ。クラスの男の顔と名前は、四月のクラス替えと同時に全部覚えこむんだ」


「うわぁ……」


「なんだその軽蔑の目は。変な虫に変なことされてからじゃ遅いんだからな、当然の行為だ」


胸を張る教授の言い分を聞いてもドン引きする。


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