拾われサンタ、恋をする



自信を失くしているのはわかるけど、なんて言ってやればいいのか……


「あのさ、僕もちゃんと失敗するよ。ちゃんとって言ったら変だけど………昔から人付き合いは苦手だったから後悔も多いんだ」


「嘘だあ。いつも余裕あるじゃないですか」


「強がって見せてること多いよ。大西は人当たりもいいし、サークルとか入ってみたらいいんじゃない?クマ先輩に付き合うのもほどほどに」


「そこは……はい、今年はもうちょっと自分で動こうと思ってます」


「正解だと思う」


そう答えると、大西は屈託のない笑顔を見せた。


僕から見たら、こういう大西の素直さの方が羨ましいんだけど、その人なりのコンプレックスがあるんだろうと思う。


ソファ周辺は、相変わらずひざまくらで盛り上がっている。


当分午後の作業は始まらないだろうな。


「ちょっと連絡してくるから、始まったら呼んで。廊下にいる」


隣りでその光景を見ている大西に言い置いて、僕は研究室を出た。





小田さんから届いたメールは、案の定飲み会の誘いだった。


帰省した時に、東京組で集まろうと言っていたあれだろう。



『南くん、勉強お疲れ
前に言ってた飲み会だけど
来週金曜18時半に桜橋駅の二番出口集合!
ヨロシク』



……誘われているというよりは、召集令状もらっちゃった気分だ。


たぶんもう一人の東京組の遠藤くんも、同じ内容で呼びつけているんだろうな。


別に空いてるからいいけどさ。



『わかりました。
企画と連絡ありがとう』



僕も簡潔に、出席の意思表示だけ返事をしておいた。







「南くん、こっちこっちー!」


パンツスーツに身を包み、ストレートのロングヘアを揺らして大袈裟に手を振ってくる小田さんを見つけて、僕はやや早足気味にそばへ寄った。


会社帰りとすぐに分かる姿だけど、スーツの上に上着もマフラーもなかったからだ。


「小田さん……寒くないの?」


「ないない!これから思う存分飲むしね!」


「いやそれ、これからの話でしょ……」



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