君と恋の歌

そのとき、視界に小さく、でも確かに見えた。


「…空!」

叫んだ俺の声は聞こえていない。


タクシーに乗り込もうとしている空のところへ急いで走る。


「空!…っ…空!!」


なんども叫んでいるのに、空は振り返らない。


距離も少し遠いからか、まったく聞こえていない様子で空がタクシーに消える。


必死で走ってそこにたどり着いた頃には、空が乗ったタクシーはもう見えなかった。

< 242 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop