君と恋の歌

それなら堂々とあの男と会ったりはしないだろうから。


そう思っていたのに、思ったよりも仕事が長引いた上、飲み会の日だったのだ。


断って空気を悪くするわけにもいかず、少しだけ、と参加する。


「え~っ、佐野さんってすっごく大人なんですね~!!」


酔った塩谷美帆がわざとらしくくっついてきてうっとおしかったが、機嫌を悪くするわけにもいかない。


「すいません。俺そろそろ…」


まだまだ続きそうな飲み会を無理矢理抜けて、すぐ近くのバーまで走る。

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