君と恋の歌

「ごめん、遅くなって」

「ううん、おつかれさま」


一人でいつもの席に座っていた空に、内心すごくホッとする。


正直、昨日のことは俺の中で片付いていないし疑ってない訳じゃない。


でも、“空が足りない”。


正直な気持ちを声にして空を抱き締めると、最初は照れているように感じたのに、突き放された。


あげくには「自分で考えてよ…」だ。


俺にはまったく意味がわからない。


空がなぜ怒っているのか、怒りたいのは正直こっちのほうだ。


そんなことを考える俺は、やっぱり女心をちっともわかっていなかった。
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