約束
「り、梨乃ちゃん…」
『どこ行くの?』
「…。」
『ねぇ!』
「お父さんの仕事で遠くに行くの。ごめん、ごめんね。」
その時の梨乃ちゃんは顔が涙だらけですごい顔になっていた。
その泣きじゃくった顔でこう言ったんだ。
『嘘つき!ゆびきりげんまんしたのに。』
「ごめんね。」
『嘘つき!嘘つき!もう知らない!遼くんなんてどこにでも行っちゃえ!!!』
そう言って梨乃ちゃんは走っていった。
バイバイも言えなかった。
「梨乃ちゃん!」
あれから10年たった今、16歳の夏
6月のここに戻ってきた。
梨乃ちゃんのお母さんから聞いて一緒の高校に通う。
梨乃ちゃんは俺んこと覚えてるかな?
正直、学校に行くのが怖い。
男なのに、情けない。