やむにやまれず雨やどり

私は衝動的にお金を下ろした。


いいだ。

ウマイぐあいに、ソロライブの抽選落ちた。

オークションで、やっちゃいけないことをしようとしたけど、



やめるッ!


やめるッやめるッ!





ネットワーク関連の資格が取れる学校に通った。


だって、大好きなんだもん。

インターネットが。



インターネットは、ヤハタくんと自分を繋いでいる窓口だ。



リスペクト。


ネット先輩、リスペクト。



「もしかしてカレシできた?」


同じ部署の志麻さんに聞かれた。

この部署には同期がいない。

みんな入社が5年以上離れた先輩ばかりだ。


「ま、まさか」

「読めないよねぇ。清水さんて無口だからさ。表情はコロコロ変わるけどね」

「変わります?」


別の先輩が声を上げた。

「気づいてないの?笹原くんが来るとてきめんに顔が強張るじゃん」

「ひえっ」


主任が言った。

「笹原くんと何かあったの?」

「な、な、んにも。」


それは聞いちゃダメでしょ……と言いたげに、周囲が目を反らす。


違うっ!
違うんですって!


というか、そんなに分かりやすい顔してた?

どうしよう……



いや…………………別にどうでもいいや。

普段の私を知らないのに、笹原さんが私の表情なんかに気づくはずない。


「あ、なんか諦めたし」

みんながニヤニヤと笑った。



ああ、本当にさっさとここから出たい。

それにはやっぱり、

やるしかない。

勉強!勉強だっ!



その国家試験会場で、とんでもない人物に会ってしまった。

システム管理部の江田部長だ。


こんな偶然ある……!?

試験会場、都内に幾つあるとおもってんの……!?



江田部長は、試験監督官のネームプレートを揺らしながら近づいてきた。

今の部署で、すでにプログラミングをしている私は、この部長とも面識がある。


それでもさすがに、この資格は必要じゃない。
いずれ転職考えてるのバレバレ……



江田部長は、苦笑いして私に言った。



「わっかりやすい顔してぇ」

「すぐに……っていうワケじゃないんです」

「とりあえず、うちに来なよ」

「うちって……」

「転属願い出してさ。もったいないだろ。新卒採用で入ってるのに」




営業部以外にも、転属なんてできるんだ?

眼からウロコ!

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