違反のキスでよければどうぞ【完】
「これで密室だけど」
「……はい?」
「……好きじゃないなんて、俺言ってないけど」
「え、」
――閉じ込められたのだ。
聞き返そうとした瞬間、頭を優しく押さえつけられて、一瞬のうちに先生の顔が目の前にあった。
あ。
と、気付いた時には反射的に目を瞑っていて、その後遅れてキスされたんだと理解する。
先生の唇の感覚にクラクラした。
噛みつくようなチューに息苦しくなった瞬間、柔らかなそれは離れていく。
先生の真っ赤な舌が一瞬だけ見えて、唇が震えた。
「……ていうかむしろ好き」
「せ、先生、い、いいい今のは…?」
「……あー、もう」
「ど、どうひ、どうしよう!? 先生好き、すぎて、心臓壊れそう……」
「……あんたが卒業するまでは言わないつもりだったのに。泣きそうな顔するからつい言っちゃったじゃん」
「す、好きって、もっかい言ってください!?」
「絶対嫌。柴崎さんのためだったんだけど台無しだね。……この前だって、キスなんかするつもりなかったのにさ」
「……」
「ほんと、柴崎さん、思い通りになってくんない。……でも今日は特別ってことで」
何気なしに近づいて来た先生の唇に意識を奪われて反射的に身を仰け反らせようとしたけど、腕を捕まえられて阻止された。