違反のキスでよければどうぞ【完】
***
「――そう、これが一週間前の出来事」
「はあ」
「って、どういうことやねん!?」
「知らないわよ」
はいバッサー!
私の衝撃体験に無関心を示した光ちゃんは、それより気になるらしい自分の爪の手入れに夢中。十分整ってますよお姉さん。
「夢だったんじゃないの?」
「いや! あの日の帰り道自分の顔電柱に打ち付けてみたけど痛かったよ!」
「それじゃあんたの妄想ね」
やれやれと首を横に振った光ちゃんの興味は、今度は自身のふんわり斜めに分けられた前髪に移ったようだった。十分綺麗にキマってますよお姉さん。
この人どんだけ私に興味ないんだ。