幼馴染みの期限
「樹里は感受性が豊かなの」
才加の言葉の意味がよく分からなくて私は首を傾げる。
すると今度は広海が口を開いて通訳のように教えてくれた。
「だーかーらー、恋に落ちる基準がゆるいんだよ、お前は」
「この前なんて『聞いて広海!藤田くんと私、誕生日が近かったの!同じ2月だったんだよ!これって運命だよね!!』って言ってただろーが」
「同じ日ならともかく、月だぜ?そのうち『男がいたの!これって運命?』とか言い出すんじゃねぇか?」
言葉もひどければ、内容も酷い。ついでに私を真似た口調も妙に似ていてムカつく。むうっ!と頬を膨らませて反論する。
「何よ!その男だったら誰でもいい、みたいな感じは。私、そんなに見境なくないよ!」
「そうよ広海。樹里は一途でちょっと思い込みが激しいだけだよ」
「大体『男だったらオッケー』って言うんだったら、とっくに側にいる『オトコ』のあんたのこと好きになってると思うけど」
という才加の突っ込みに……
『『それはない!』』
二人同時に答えてしまっていた。
「ほらね、お似合いじゃない」
才加はくすくすと笑いながら5杯目のジョッキを空にした。