幼馴染みの期限
何処に行く気なんだろう……
でも……あれ?待って?
広海、才加と居酒屋に行ってたじゃない!
「広海!運転しちゃダメでしょ!!」
「は?何だよ」
「何だよ?じゃないよ!飲酒運転!」
「あぁ……大丈夫。一滴も飲んでない」
「……へっ?だっ、だって『紫山』で飲んでたよね?」
『紫山(しざん)』は、いつも私達が集まる居酒屋だ。
「確かに行ったけど飲んでない。……ってか、何で俺が『紫山』に居たって知ってんだ?お前」
その言葉にはっとする。宏美さんは広海が近くで飲んでいたと言ってたけど『紫山』の事は口にしていない。
「あっ、ほら、えっと、一人で飲んでたって言ったから……てっきり『紫山』だと思ったんだけど……あっれー?……違ったカナー?」
慌ててごまかした。
「怪しいヤツ」
広海に訝しげな視線を向けられつつ、ごまかす事に気を取られているうちに、行き先を告げられないまま車は走り出してしまっていた。