幼馴染みの期限
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『樹里』
暗闇の中から私を呼ぶ声が聞こえる。
その声は私が昔から知っている懐かしくて、優しくて、温かい声だ。
私は声の聞こえた方に向かって歩き出す。
暗くても平気だ。
この声の方向に進めばきっと大丈夫。
信じて歩みを進める。
その瞬間、
『あんたなんて……広海と一緒じゃなきゃ何の価値もないくせに』
温かな声は、一瞬で冷たい声に変わり
私は足を滑らせて、暗闇の中を奈落の底まで真っ逆さまに転がり落ちていった。