幼馴染みの期限

***


『樹里』


暗闇の中から私を呼ぶ声が聞こえる。


その声は私が昔から知っている懐かしくて、優しくて、温かい声だ。



私は声の聞こえた方に向かって歩き出す。



暗くても平気だ。



この声の方向に進めばきっと大丈夫。



信じて歩みを進める。



その瞬間、



『あんたなんて……広海と一緒じゃなきゃ何の価値もないくせに』



温かな声は、一瞬で冷たい声に変わり


私は足を滑らせて、暗闇の中を奈落の底まで真っ逆さまに転がり落ちていった。


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