幼馴染みの期限
ずっと泣いていたから気がつかないうちに身体は疲れていたのか、どうやら眠ってしまったらしい。
いつの間にかシートを軽く倒されて、身体にはブランケットがかかっていた。
「広海。これ……ありがとう」
「ん」
ブランケットを軽く持ち上げて見せると、広海は目線を合わせずに軽くうなずいた。
「……ここ、どこ?」
車はどこかの駐車場に停まっていた。なんだかずいぶんと広い駐車場だけど……
「サービスエリア。さすがに夜通し運転はキツいからな」
「サービス……エリア……?」
……高速に乗っちゃってるの?!
「なっ、何で高速なんか走ってんの?!」
「車で寝るのって案外寒いんだな。風邪引くかと思った」
「どこのサービスエリア?!ねぇ、広海!この車は一体どこに向かってるの?!」
「はぁ……身体が痛ぇよ。やっぱりもうちょい大きい車買いてぇよなぁ。なぁ?」
「……そうだねぇー。あたしにはちょうどいいけど、広海は足が長いからねぇ……って、ごまかさないでよ!」
「はいはい。まだ明け方だから、もう少し寝るぞ」
無視かよ!
睨み付ける私に背を向けて、広海はさっさと横になってしまった。
やがて、スースーと寝息が聞こえてきた。
これ以上は話すつもりはないらしい。私は会話を諦めて無理矢理目を閉じた。