幼馴染みの期限
「お似合いなんかじゃないよ。今更『オトコ』として広海のこと見れないもん」
「るせぇ、何もかも中途半端なお前が言うな。お前も『オンナ』に見えねぇんだよ。もっと胸周り育ててから女として出直して来い。この貧乳が」
「なっ、何よ!中途半端って……胸は関係ないでしょ!」
「いーや、関係あるね。コンプレックスだらけだから、いっつも好きになった男にまともにアピールできないんだろ?だから友達にいっつも取られてんじゃねぇか。お前は中学の頃から何にも成長してないんだよ。胸は小学生から何にも成長してないけどな」
「胸だけいちいち言い直さないでよ!藤田くんだって取られたワケじゃないよ!!……胸だって……高校までは……ちゃんとおっきくなってたも……」
言いながらじわり、と涙が溢れてくる。
ほんとは分かってる。
私は何も動かなかった。
ただ、恋をしている自分に満足していただけだ。
恵が藤田くんのことを好きなんじゃないかって気がついても『私は』何も動かなかった。
恵のように彼の前で自分を可愛く見せる努力もしなかった。
広海の言うとおり勝手に諦めて、頼まれてもいないのに勝手に応援して、勝手に傷ついていただけだ。
恵のことを『羨ましい』と思ったのは藤田くんと付き合ってるっていう事実じゃなくて、好きな人に素直な気持ちで向かって行くその勇気が羨ましかったんだ……