幼馴染みの期限
その後、どんな会話をしたのか、どうやって家に帰ったのかよく思い出せなかった。
気がついたら自分の部屋にいて、呆然とベッドに腰かけていた。
親友と同じ人を好きだと知ったショックと、ほんとは私も向井くんを好きだって伝えられなかった後悔が混ざりあって心の中はぐちゃぐちゃだった。
今までは何かあったら美桜や広海を頼っていたけど、美桜とはライバルで、広海とは距離が空いてしまっていて……
どうしようもないまま、ただ時間だけが過ぎていった。
***
「ねぇ委員長。俺、何かした?」
美桜の告白を聞いてから、今までのように向井くんに挨拶をすることすら出来なくなってしまって、不自然に避けてしまうようになってから一週間。
とうとう向井くんに捕まってしまった。
「なっ、何って?何もしてないけど……」
「じゃあ、どうして俺の事避けるの?」
「……避けてないよ」
放課後の教室。逃げ場のない状況で、真っ直ぐなその目を見つめ返すことができなくて、思わず目を逸らしながら答えてしまった。
「避けてないんだったらさ、こっち向いてよ。委員長と話せないのもキツいけど……目も合わせてもらえないのは、もっとキツい」