幼馴染みの期限

静まりかえった廊下を、先生の後に付いて歩く。立ち止まったのは生徒指導室だった。


……どうして?


何かした?と考えるまでもなくて、ここに呼ばれる理由なんて全く思い付かないのに。


「いつもより来るのが遅かっただろう?……ほんとはホームルームが始まる前に声を掛けたかったんだけどな」


先生が申し訳なさそうに口を開く。クラスが不穏な空気になっていた事も、その理由も、先生はどうやら知っているようだった。


先生は「お待たせしました」と言いながら指導室の扉を開けた。中には学年主任の福田先生と向井くんが座っていた。


向井くんも何も聞いていないままここに連れて来られたのかもしれない。崎山先生に続いて入って来た私に不思議そうな視線を向けている。


「向井、渡瀬。お前達どうしてここに呼ばれたのか心当たりはあるか?」


向井くんの隣に座るように促してから、福田先生はこう話し掛けたけど、私達はすぐに首を横に振った。



「まぁ……今までこんな所に呼び出された事は無いだろうから、戸惑うのも無理は無いだろうけどな」



「質問を変えようか。……お前達は今、付き合っているのか?」
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