幼馴染みの期限
「泣くぐらい後悔してるんだったら、沈めないでちゃんとケリつけたら良かっただろ。この意気地無しが」
ポタポタと涙を流し始めた私を見ながら、広海が呆れたように淡々と言った。同時に隣からため息が聞こえる。
「言い過ぎだよ広海。樹里は失恋したばっかりなんだよ」
「才加……」
「たとえ惚れっぽくて去年はそれこそもう何回恋をしたのか数えきれなくて、藤田くんとは先月出会ったばっかりだったし、誕生月が一緒だったってだけでアッサリ運命感じちゃってたけど……それでも樹里は一応恋をしてたんだから」
「才加、それってフォロー?それとも……」
慰めよりも軽く呆れられているような微妙な才加のフォローに流れ出た涙はぴたりと止まってしまった。
「とにかく樹里はもう少し落ち着くこと!ちょっと優しくされたとか、会話が盛り上がったとかですぐ『好き!』って思ってるようじゃマズイよ。今までは良かったけど、そんなんじゃそのうちろくでもない男に引っかかるって」
「……はい。でもさぁ、才加だって惚れっぽくは無いけど、経験値は私とそう変わんないじゃない」
確かに私は誰とも付き合ったことがないけど、『まともな恋をしていない』という点では、私達はみんな似たり寄ったりのはずだ。
……そうじゃなきゃこんなに頻繁に三人で集まって飲んでないでしょ。