幼馴染みの期限

こんな泣き言だって枕の中に飲み込まれて、誰の耳にも届かないのに。


傍らに置いている携帯を開いてみる。


この三日間着信もない真っ暗な画面を見て、メールが来ていないかと何度も問い合わせを繰り返して、その度にため息をついていた。


いつもこんな時に真っ先に電話をくれる美桜から何も連絡が無いことが、不安でたまらない。

美桜が私と向井くんの噂を聞いてどう思ったのか……確かめるのが怖い。


私と同じ不安を抱えているはずの、向井くんからの連絡も無い。


明日になって学校に行ったとしても、もう誰からも話しかけてもらえないかもしれない。


そう考えたら自分から誰かに電話やメールをする勇気が出なかった。



『コツッ』

『コツッ』



ぼんやりと携帯を眺めていると、何処からか乾いた音が聞こえてきた。


何の音?と思う間もなく、


『コツッ、コツッ。コン、コン、コン』


続けざまに同じ音が聞こえた。


……窓から聞こえてる?


「もう、何?!」


ベランダ側の窓から聞こえるその急き立てるような音に少しだけ苛立ちながら、ずっと閉めきっていたカーテンを勢いよくシャッと開けた。


「眩し……」


思えばこの三日間、外すらまともに見ていなかった。


眩しさに目をパチパチとさせ、寒さに震えながらベランダに出る。


窓の下を見ると、制服姿の広海が『よお』という感じで手を挙げながら立っていた。
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