幼馴染みの期限
それから何とかぎりぎりいつもの時間に家を出ることができたけど、やっぱりいつも待ち合わせをしているコンビニの前に美桜の姿は無かった。
美桜は、私の顔も見たくないほど怒ってるんだ……。
美桜の向井くんへの気持ちは知らなくても、私が今でも美桜と一緒に学校へ行っているのは広海だって知っているはずだ。
なのにコンビニを過ぎても会話の中に美桜の名前が出てくる事はなくて、それを広海に聞くこともできないまま、無言で並んで学校へと向かって行った。
教室に着いてからも広海はずっと私の側にいてくれた。
……噂はどこまで広がったんだろう。
休む前までは、冷たい態度や好奇の視線は特進クラスの人だけから向けられていた。
でも今はクラスの人だけじゃない、他の名前も知らないような人達の視線にさらされてクラスにたどり着く前に既に私の心は疲労感でいっぱいだった。
「広海……ありがと。戻ってもいいよ。もう大丈夫」
何度も言ったけど、広海は私の側から離れようとしなかった。
遠巻きに私を眺めるクラスメート達から私を守るように。
真美ちゃんと美咲ちゃんがこっちを向いて何かヒソヒソ言い合ってたけど、広海がジロリと視線を向けると気まずそうに黙って目をそらしてしまった。