幼馴染みの期限

校門を出たところでようやく追い付いて、腕を掴んで引き止めた。


「どうした?」


「はぁっ……はぁ。……っ、ひ、ろみっ。あるくの、はやいよ」


どうしたって聞きたいのはこっちなのに。


息が切れてうまく言葉が出て来ない。


「これぐらいさっさと歩けよ」


広海はそう言いながらも、腕を掴んでいた私の手を引き離し、そのまま手を握って今度はゆっくりと歩き始めた。


乱暴な口調とは逆に、包み込むように繋がれた手の感触はとても優しい。


だからこそ、彼女に向けられるはずのその優しさを私が感じていることに罪悪感が広がった。


「ねぇ……ひろみ。梨華さんに私と帰る事、ちゃんと話してる?放っておいて大丈夫?」


「梨華って……持田?ちゃんと言ってるって何が?」


「梨華さんと付き合ってるんだよね?私と登下校してるなんて、気分悪いよ絶対。今日はありがと。明日からいいから。……私ならもう大丈夫だから」


「そんな今にも死にそうな顔して大丈夫なワケねーだろ、バカが。それに俺、持田となんか付き合ってねーし」


「えっ……だって……」


じゃあ、あの呼び出しは何だったの?
よってたかってバカにされて、笑われて……


『私、広海くんの彼女になったから』


そう言って勝ち誇られたあの時間は?

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