幼馴染みの期限
「あはははははは!!あはっ、ふっ、はははっ……はぁ、はぁ……」
ひー、ひーと息をつくのも苦しそうに笑う様子に呆然とする。
時折、バタン、バタン、バタバタバタ……と何かを叩く音が聞こえるのは、机を叩きながら床を踏み鳴らしながら笑っているのかもしれない。
「……あー、おかしい。ははっ。……あー、ごめんね。なんか止まんなくなっちゃった。ほんと、樹里ってば、ウケる。『私と向井くんの噂を聞いたから?』だって?まだそんな事言ってんの?」
「……ほんっと、あんたって素直だね。なーんにも分かってなくて、なーんにも考えてなくて……」
「何もしなくても、みんなから大事に大事に守られて、私には何にもしてくれないくせに、あんただけみんなから好かれてる」
「……み、お?」
幼馴染みとして10年間、ずっと美桜の側にいた。
でも、こんな美桜は知らない。
小さな頃から、今まで美桜とは一度もケンカなんてした事が無かった。
私と広海がちっちゃい事でギャーギャー言い合っている横で、美桜はいつもしょうがないねって顔で優しく私達の喧嘩を止めてくれていた。
私を……私の事をこんな風にバカにしたように、心の底から嫌っているように話すこんな美桜は……
私の知ってる美桜じゃない。