幼馴染みの期限

耐えきれず「ひくっ」としゃくり上げると、ふっと鼻で笑う声が聞こえた。


「……泣いてるの?樹里。可哀そう」



「でもさ、そういう所なんだよ。樹里の凄く素直で、凄ーくずるい所」


「悲しい時はすぐに泣いて、みんなに構ってもらって。素直で可愛い『いい子』の樹里。私は素直に泣いたり、構って欲しいってなかなか言えなくて、いっつも私より先に泣いちゃう樹里を慰めるしかなかった」


「一緒に笑ってたって、みんな見てるのは樹里と広海だけ。樹里と広海だってお互いの事しか見てなくって、三人で居ても、私だけいつも透明人間になったみたいだった」



……もう何を言われているのか分からない。


美桜の言葉は聞こえているのに、心が理解をしたくないって叫んでいる。


さっきから胸が苦しくて、痛くて堪らない。


美桜が私と広海に対してそんな気持ちを持っていたなんて考えた事もなかった。


やっぱり……真美ちゃんや美咲ちゃんや持田さんの気持ちを利用して、あんな嫌がらせをしたのは美桜なんだ。
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