幼馴染みの期限
「樹里、ありがとね」
ーー今度は『ありがとう』?
戸惑いや悲しみや訳のわからない感情で、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「ちょっと、誉めてあげたんだけど。いい加減、何か喋ったら?広海よりも先に私に電話してくれてありがとうって言ったんだよ?聞いてる?」
「こればっかりは賭けだったけど、何年もあんたの世話焼いてきて良かった。広海が余計な事を教える前に話できたみたいだしね」
「広海も変に隠したりしないでちゃんと樹里に全部教えてあげれば良かったのに」
「何が、『ロミジュリ』だよねー、ハハッ。ほーんと、バカばっかり。中学になってようやく二人が離れたと思ってたのに、こうやって樹里に何かあったらやっぱり広海は真っ先に樹里の所に行くんだから」
「きっと私があんたと同じ目に合っても、私は絶対に守ってもらえない。だって、私は樹里じゃないからね」
あはは、と笑いながら話したかと思えば急に沈んだ声を出す美桜に、身体の震えが止まらない。
美桜……今どんな顔をして私に話してるの?
ずっと一緒にいたはずなのに……どうして?