幼馴染みの期限
……確かに中学に入学したばかりの頃、私と広海の事を『ロミジュリ』と呼んでからかう人達がいた。
私達が付き合ってるって思われたんじゃなくて、最初は仲の良い私達を見て、お互いの名前から何となく付けられただけのあだ名だったはずだ。
だけど、そう呼ばれてからかわれて……お互い恥ずかしい気持ちがあったから、それから広海とは何となく距離ができてしまった。
その頃から広海は背が伸び始めて、先輩からも後輩からもモテるようになって……
私は誰からもモテずに、それっきり目立つ事も無くなった。
……後は、今現在二年の冬になるまで、別に広海とは何も無い。
だから、『ようやく離れた』とか、『樹里じゃないから守ってもらえない』とか、どうしてそんな話を美桜がしているのか全く分からない。
「……ねえ、樹里。今、広海があんな感じになったのって、あんたの為にだって知ってた?」
「……あんな、感じ?」
「バカ達に囲まれて、嫌がらずにヘラヘラして、寄ってきたバカ達と次々に付き合っちゃうような、あんな感じ」
「学校に入った頃は、文芸部にも顔を出すって私達と約束してたでしょ?だけど、モテ始めてからは全く来なくなっちゃった。樹里は『ほんと広海っていい加減だし、忘れっぽいヤツなんだから!』って怒ってたよね」
……だから、それが何の関係があるの?
分かんない……分かんないよ、美桜。
だって私の頭の中は、ミキサーにかけたみたいにぐっちゃぐちゃで、美桜の話に全然付いていけないんだから。