幼馴染みの期限

答えられない私に、美桜は「分っかんないかなー?」とまたバカにしたようにハハッと笑った。


「あんたと仲良くしてたら、あのお人形みたいなバカ達が黙ってないからに決まってるでしょ」


「私までついでみたいに無視されてさ。ほんと、広海にはムカついたわ」


……ついで?そんなワケない。


「でも……それなら、広海は美桜のことだって考えてたって事だよね?広海は私達を無視なんかしないって……美桜だって分かってるよね?」


「それはないよ樹里。広海は私の事なんて全然考えてない」


「どうして?私達幼なじみなんだよ?美桜の事だけを考えてないなんて、それこそ絶対にないよ」


ははっ……と呆れたような、でも哀しそうなため息が聞こえてきた。


「って言うかさー、さっきまで私に何言われてもずっと黙ってたのに、広海の話になるとずいぶんペラペラと喋るんだね。あんたさ、ほんとに向井くんの事、好きなの?」


「好きだよ!!」


まだ向井くん本人にも伝えられていない気持ちだけど、美桜にはどうしても伝えたかったし、聞いて欲しかった。



……もう、遅すぎたのは分かっていたけれど。




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