幼馴染みの期限
「そういう事は、ちゃんと好きになったヤツとしろって……ちゃんと気持ちを伝えろよって……」
「ほんと酷いヤツだよね、広海は。優しく止めを刺されたみたいだった。……何も知らないくせして、偉そうに」
「あたしね、悔しかった。広海の優しさに傷ついたんだ。だからね、同じように傷つけてやろうって思った。そうしなきゃ私がどんなに悔しかったのかなんて、伝わらないよね?」
「ぐちゃぐちゃにして、優しい優しい広海が一番守りたかった大切な人も一緒に傷つけて、『どう?苦しいでしょ。私もね、こんなに苦しかったんだよ』って目の前で叫んでやりたかったんだ」
「ねぇ、樹里。聞いてる?……傷ついてるよね?苦しいよね?好きな人に、好きって伝えられなくなっちゃった気分はどう?大切な気持ちを潰された気持ちはどう?……胸が痛いよね?息苦しいよね?」
「私もね、同じだったんだよ。側にいても、ずっとずっと苦しかった。でもね……私の気持ちは絶対に言えなかった。言っちゃったら、友達としても側にいられなくなるから……」
「…………ずっとずっと……好きだった」
ポツリ、と消えそうなほど小さな声で美桜は告白をした。
震える声で。
涙交じりの声で。
絞り出すように呟いた真剣な想いに、私の胸もギュッと切なく軋んだ。
美桜は……広海の事が、ずっと好きだったんだ。