幼馴染みの期限
まだ学校には多くの人が残っていて、下校する人の中をかきわけるように校舎へと入って行った。
「今何時かな……」
携帯を持っていないのに気がついて壁の時計を見ると、まだ16時を回ったばかりだった。
HRが終わって直ぐ帰ったから、戻って来た今も、まだ部活が始まって間もない時間だった。
美桜はまだ学校にいるはすだ。
校内にいるほとんどの生徒がジャージかユニフォーム姿なのに、コートも着ずに制服姿でゼェゼェと息を切らしている私の姿は少しだけ目立っていた。
そのせいなのか、それとも噂が広まっているせいなのか……。
すれちがう人に何度もちらちらと横目で見られるのを感じながらも、視線を振りきるように文芸部の部室として使っている別棟近くの空き教室へと走って行った。
教室に着くと、ドアに手をかけて勢い良く引いた。
呼び掛けたその先に親友がいると信じて名前を呼んだ。
「ーー美桜!!」