幼馴染みの期限
ーーそこには、
いるはずだと思った美桜も、文芸部の皆も誰も居なかった。
しんと静まりかえった空間に、応える人の居ない私の声だけが虚しく響いた。
「……どうして……いないの?」
家にもいない、学校にも、部室にもいない。
なぜか、もうこのまま二度と逢えないような気がした。
いつも美桜と座っていた窓際の席にふらふらと近寄る。
「…………っ」
美桜じゃないのかもしれない。
でも見覚えのあるクセの文字だったから、美桜が書いたのかもしれない。
使い古された焦げ茶色の机上に刻まれた、真新しい『大キライ』の傷口。
見つけた瞬間に、私の心にも同じように『大キライ』と美桜の言葉で刻み込まれたような気がした。
目の前の文字がぐにゃりと歪む。
……泣いちゃダメだ。
本当に傷ついて、泣きたかったのは美桜のほうだ。
私がいつもこうやってすぐに泣き出すから、美桜は泣くことができなかったのに。
そう思っても瞼が熱を持ったように熱くなり、次々と溢れ出る悲しみを止める事が出来なかった。