幼馴染みの期限

内申が下がるギリギリの休みを取ることを選択した私は、三年に上がる時に特進クラスを辞退した。


三年生になり、私と広海が同じクラスになってからも周囲の視線は冷たかったけど、広海だけは変わらず側にいてくれた。


私達の関係を色々と勘違いした人達に嫌がらせをされた事もあったけど、無視していたらそれも次第に収まった。


向井くんとはクラスが離れてから話す機会が無くなった。何より周りの目が怖くて話すどころか声を掛けることすら出来なかった。



……どうしてこんな事になってしまったんだろう。



私は、好きな人にただ好きだと伝えたかっただけなのに。



気がついた時には初恋を失って、親友を失って……クラスでの信頼とか、希望の高校へ入る為のステップとか……何もかもを失っていた。



***


夏休みが明けた頃、向井くんと真実ちゃんが一緒にいる所を見かけた。


噂だと、二人は付き合い始めたらしかった。


広海は心配してくれたけど、中途半端になっていた初恋が終わった事にほっとした気持ちのほうが大きかった。



……これ以上向井くんが傷つかなくて済むなら、それで良かった。
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