幼馴染みの期限

***

「……腹減ったな。まだ時間も早いし、どっか寄るか」


そう言って広海は私の意見も聞かずに、さっさと牛丼屋に車を停めてしまった。


何て色気の無い私達。


「何だよ?不満そうな顔しやがって」


「……別に」


いいんだ。こんな朝早くから色んな店なんて開いてないから、選ぶとしたらここかファミレスか、ファーストフードくらいしか無いってのも分かるし。


停まった瞬間に、朝定食食べたいなーって思っちゃったし。


ただ……


今までどんな小さな事でも『どうする?』って聞いてくれた広海が、昨日から私の話を聞かないでどんどん色んな事を先に進めている事に、戸惑ってるだけだ。


広海の事は信じているし、私の事を分かってくれているから、広海の行動に不安は無い。


だけど、不満はある。


……伝わるかなー、この微妙な違い。



『昨日今日の思いつきじゃない』って言ってた通り、確かに広海の行動は計画的だ。


私が衝動的に幼なじみの期限を早めてしまったのにも関わらず、そんな事には一つも動揺した様子も無い。


戸惑って、混乱して、動揺しているのは私だけだ。
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