幼馴染みの期限

広海は、いつから私を美桜と会わせようって考えてたんだろう。


ーー現に今だって。


広海は仙台のICで高速を降りて、全く迷う様子も無くここまで来た。


それは美桜の居場所を知っているって事だし、ひょっとしたらもう何度も来ているのかもしれない……。


私の知らない所で二人が連絡を取り合って、既に再会をしていた。

そう思うと、どうしてかは分からないけれど、才加と広海が『紫山』から二人で出てきたのを見た時のように、ギュッと胸が締め付けられる感じがした。



「おい。何だよ、さっきから黙りこんで。食わないなら、その牛皿寄越せ」


「やめてー!!」


牛皿に伸ばされた広海の手を、慌ててバシッと叩き落とした。


「鮭定には牛皿でしょ!人の物、勝手に取らないでよ!」


「あー、痛ぇ。やっぱ食べ物が絡むとお前怖ぇな」


広海は大袈裟に手をさすりながら、「ま、それだけ食欲があれば大丈夫だな」とぼそっと呟いた。
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