幼馴染みの期限

……本当は大丈夫じゃないって分かってるよね。


私が不安で食欲が無くなるんじゃないかって心配してくれたのかな……とか、だから今、私は大好きな朝定食を食べさせられているのか?……とか。


広海のどこまでが計画なのか分からない優しさに、私は翻弄されっぱなしだ。


ここまで強引にコトを進めて私が戸惑わない筈がないって……広海なら絶対に分かっているはずなんだ。


だから、美桜に会いにここまで来たっていう現実を自分の中でどう受け止めていいのか分かんないし、全然消化しきれていない。


これも広海の計算の内だとしたら……私は広海の手のひらの上でだいぶゴロゴロと転がされまくっている。


広海の魔の手から守り抜いた牛皿を食べていると、向かい合わせに座っている広海の傍らに置かれていたスマホが光って、かすかに震えだした。


「……あ、ちょっとごめん」


そのままスマホを掴むと、広海は店を出て行ってしまった。



……美桜かな。



なんとなく、そんな気がした。

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