幼馴染みの期限
「……どうした?ぼーっとして」
サッサッと私の目の前に手をかざしながら、顔をのぞきこむ。
薄茶色の瞳が、心配そうに揺れていた。
「……あー、何でもない。大丈夫」
視線を外すと、さっきの女の子達がこっちを見て固まっているのが見えた。
私の向かい合わせに座った広海からは、ちょうど真後ろになるので女の子達の姿は見えない。
だけど、さっきと違って他に聞こえないようにみんな顔を近づけて声を潜めて話し始めたから、あの子達は広海の事を話してたんだなって気がついてしまった。
……だって明らかに広海を見ながらヒソヒソ話してるし。
そうだった。コイツはモテるんだった。学生の頃はファンクラブができるほどに。
さっきの話を思い出してみる。
外で誰かが彼女にこっちが恥ずかしくなるくらいの甘い言葉を吐きながら、イチャイチャしていた……そんな感じだったかな。
てっきり外でイチャついてたんだろうって思ってたけど……。
そっか。電話掛けてたのを聞いてたのか。