幼馴染みの期限
急に予定が変更になったって、広海はちゃんと才加に連絡をしているはずだ。ヤツは、そういう所は抜け目ない。
それでも、才加は不安になってつい電話をかけてしまったのかもしれない。
いくら幼なじみだからって、私と広海が二人きりで出掛ける事に不安を感じない訳がないだろうし。
広海はそんな才加の事を安心させたくて……帰ったら『好きだって伝えるから』なんて言ったのかもしれないなー。
じゃあ、才加は広海から私と美桜との事をもう聞いている……?
……胸が痛い。
幼なじみを終わらせようって言ったのは自分からなのに。
だけど、心のどこかで納得できなくて、広海のしあわせも才加のしあわせも喜ぶ事ができないんだ。
二人のしあわせが重なりあうものだって知ってしまったから、今は余計に辛い。
「樹里、大丈夫か?………顔色悪いな」
本当に心配そうに広海が私の顔を見るから、余計に胸がギュッと締め付けられるほど苦しくなった。
「……今はキツイだろうけど、もうちょっと頑張れ。連絡ついたから行くぞ」