幼馴染みの期限
「もうすぐ着くからな」
幹線道路を離れ郊外に入って間もなく、広海はそう言いながら、とある建物の門をくぐり敷地内へと車を走らせた。
「……えっ、ここって」
正面からではなく建物の横側から入り込むこの門は、正門ではなく駐車場につながっている入り口なのだろう。
でも、横向きでもその建物の外観には確かに見覚えがあった。
「そうだよ。ここは東星大学(とうせいだいがく)のキャンパス。よく覚えてたな」
嬉しそうに目を細めた広海を、私は複雑な気持ちで見つめていた。
ーー『東星大に行くぞ!』
『広海は経営学部でしょ?じゃあ、私達は文学部だね』
『ルームシェアするか』
『えー。私は美桜と一緒に住むけど、広海はどっかに一人で住んでよ』
『俺も仲間に入れろよ』
『嫌だ。……何か、間違えた!とか言ってわざとお風呂とか覗きそう』
『はぁ?お前の貧乳なんか見ねーよ!バーカ!』
『なんで貧乳だって分かるの?!見たこともないくせに!!』
『見たことあるし』
『幼稚園の時じゃん!』
『それから変わってないくせに』
『なによーーー!!』
『……はいはいはい。二人とも、もうやめなよ』