幼馴染みの期限

まだ三人でいつも一緒にいた頃に交わした、たわいもない会話が甦った。


「……忘れる訳無いよ。ここに通いたいって、いっつも三人で話してたよね」


「あぁ。懐かしいだろ」

「……」



中学三年の時、特進クラスを辞退した私の成績は、志望校を考え直さなくてはいけないくらいに下がってしまった。


東星大への進学率の高かった進学校から志望校を変更して、脱け殻のようになってしまった私を、救ってくれたのは広海だった。


休み毎に(無理やり)どこかに連れ回されたり、夏休みにはボランティアに(いつの間にか)参加させられたりして……


ずいぶんと振り回されたけど、今の仕事に興味を持ったのはこのボランティアがきっかけだった。


昔と違う新しい目標を見つけて、昔の夢とは違う仕事に就いてはいるけど、今の仕事には充分にやりがいを感じている。



……だからと言って、私はこの光景を、昔の夢を、懐かしいの一言ではとても片付けられない。



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