幼馴染みの期限

「……それで、どうしてここに?勝手に入って大丈夫なの?」


広海の目的が分からない。

私達は美桜に会いに来たんじゃないの?


それに、ここは私達三人が目指していた経営学部や文学部がある青葉キャンパスじゃない。


懐かしい想い出を辿りたいだけだったら、ここは違うと思うんだけど……。


「向こうがこっちを指定してきたんだよ。ーーここだな」


私の混乱は分かりやすく伝わってしまっているらしい。


ポン、と頭の上に手を置かれて撫でられた。


まるで『大丈夫だから』と言われているようだった。



右側にオフホワイトの建物が団地のように何棟か続いている。その建物の並びに沿って駐車場があり、土曜日にも関わらず、何台か車が停まっていた。


その駐車場の一角に車を停めて、広海はスマホを取り出して電話をかけ始めた。


思えば、昔から広海はメールの類いが苦手だった。『自分の口で伝えたほうが分かりやすいだろ』って言ってどんな時でも電話をかけるか、直接言いに来る。



美桜と広海が、そんな昔の気を遣わなくて良い関係に戻っているのだとしたら。



とても嬉しいけど、少しだけ寂しい。


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